2011年8月12日金曜日

倍スコアで負けるとは

  ゲームデザインについて考察します。

何度でも遊びたくなるゲームの要素に、プレイヤーが遊ぶたびに成長するかということがあります。その目安となるのが、上級者と初級者の得点差です。1ゲームを遊び終えたとき「優勝者とドベの点数差がどれくらい開くか」ということです。優勝者と準優勝者の点数差はこの間にくることになります。この点数差が縮まるということがプレイヤーの成長の証です。
この点数差は1つ1つの手番の積み重ねの中で生まれます。そこでゲームデザインとして最初に「優勝者とドベで2倍の点数差がつく」という条件を仮定しましょう。2倍という数字は個人的な感覚です。ここを1.2倍といった値にするかはデザイナーの裁量の範疇です。ここでは判り易く2倍とします。

得点がどれほど入るかは、デザイナー側で簡単に調整できます。一方、プレイ時間を現実的な時間に納める必要から、手番の回数は制限されます。例えば60分ゲームを作るのであれば、1手番が6分だとして手番は10回となります。

では10回の手番で2倍の得点差にするためには、1回の手番でどれだけの差がつけばよいのでしょうか?これは7.2%になります。イメージし易い様に、具体例を挙げましょう。「100万ドルを使って利益をあげ、ゲーム終了時に最もたくさんのドルを持っていたプレイヤーが勝者」としましょう。そうすると、1回目の手番で107.2万ドルに増え、2回目では114.9万ドル、20回目では200.4万ドルと2倍になります。仮に初級者が100万ドルのままであれば、倍スコアとなります。
少し手間ですが、初級者もドルを増やしていくとしましょう。「10回の手番で初級者が1000万ドルになる間に上級者は2000万ドルになる」と仮定します。初級者の稼ぐ速度は25.9%、上級者の稼ぐ速度は34.9%、その差は7%となります。ここで初級者でも稼げる25.9%という値は、インフレ率とでも呼べるものでしょうか。

次に手番の回数から逆算してみます。話を簡単にする為に、初級者は100万ドルのままとなるインフレ率0%とします。前述のとおり、手番が10回では7.2%の差になります。70回だと1.0%になります。つまり目安の計算式としては、70回で1%で、回数を割り算した分だけ%をかけ算すればよいとなります。

最後にインフレ率から逆算してみます。前述のとおり、インフレ率0%では70回で1%です。インフレ率50%では70回で1.5%となります。さらにインフレ率100%では70回で2%となります。つまり、インフレ率を速度の差に乗じてやればよいのです。

以上の内容を方程式の形でまとめると
手番回数×技量差%÷(100+インフレ率%)=70
となります。